眩しさで目が覚めた。
真っ白よりも、汚れが目立つ白っぽい部屋。

『どこだ？』

天井のポツポツとした材に視点を合わせてから
部屋を見渡した。

カーテンに囲われてる･･･
この消毒臭い匂い･･･病院だ。。

『俺、どうしたんだ？･･･』


「木谷さぁ～～ん。点滴替えますよぉ」
「あっ！、目が覚めましたね♪」
「先生、呼んできます！」


俺は、確か･･･急に降りだした雨の中
愛車のバイク　ワルキューレに乗っていた。
そっか･･･俺、事故ったんだ。



俺は･･･俺は･･･名前が思い出せない。
看護師は俺を「木谷」と呼んでいた。
ベットのネームプレートは『木谷　耕太』そう書いてあった。

ケガは、足の骨折と打ち身と脳震盪。
事故の時、ヘルメットのお蔭で助かったと医者から聞いた。

でも、ポッカリと記憶が抜けてる。
モノに対しては徐々に、断片的に戻って来てるが
人に対しての記憶が、なかなか戻って来なかった･･･

俺が、目を覚ましてから
足しげく見舞いに来る女性がいた。「吉田　瑞季」
俺と親しい間柄だったらしいが、全く記憶が無い･･･

「耕ちゃん、気が付いて良かったよね♪」
「まぁ記憶は、そのうち戻るでしょ。。。」
「ゆっくり やって行こ。。」

「あのぉ･･･君の事も思い出せないんですけど･･･」
「すいません。。。俺ってどんな奴だったんですか？」
「どんな奴って･･･バイク好きで優しくて･･･」
「でも、バイクは男の勲章とか言っちゃって、女は乗せねぇ。っとか言ってた」(笑)
「ふ～ん。。。。」

記憶喪失と外傷は骨折だけだったから、俺は数週間で退院。
俺の部屋らしい住処へ、瑞穂の案内で帰った。

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