ある時、仕事終わりの帰り道で、ヨロヨロと飛び出して来た女がいた。
思わず、ブレーキを踏んだ。
酔っぱらいか？･･･ったく危ねぇな。。。

その女が、車の窓を叩く、
「あっ、ちょーどいいトコにタクシーだぁ･･･」
「乗せてぇ。。。」
「乗せてよぉ･･･」
ノブを掴み、ガチャガチャと開けようとする。

俺は、車から降り、
「コレは タクシーじゃないから･･･」
「指定された場所以外、流しのお客さんは乗車できません。」
「自分、今仕事帰りですし･･･」

「何ソレ？　客に変りないじゃん。。。」
「あっ、乗車拒否するのね。。。」
「違うしっ、困りますから･･･(汗)」


「乗せてくれないと、お宅の会社に苦情入れるよ！」
「ねぇ、おネガイ～乗せてぇ～。　のぉ～せぇ～てぇよぉ～･･･」
「はぁぁぁ？　もぉ･･･ドコまで帰るのっ？！」

面倒だったけど、帰り道だったこともあって、その女を乗せた。
あくまでも、私用として･･･

私用だから料金は要らないと言うと
今度指名するからと、女は名刺を要求した。


そんな事も忘れかけた頃、客からの指名がかかった。
『間宮塔子。』
指定された場所に行くと、あの彼女がいた。
正直、顔も忘れてたんだけどね＾＾

「春日井さん。私の事覚えています？」
「えっ？　以前に ご利用頂きましたでしょうか？」
「えぇ、以前に乗せて頂きました。タダで･･･」
「あの時は、少々私は酔っ払っていましたけど･･･(笑)」

すぐ、閃いた。

「あの酔っぱらいの･･･(笑)」
「ちょーど、私が帰り道の時でしたね。」
「いやぁ、強引で参りましたよ(笑)」
「申し訳ありませんでした。(苦笑)」

「ハッキリした記憶は薄いんですけど、頂いてた名刺で･･･
　　　　　　　お詫びって事で、指名させて頂きました。」
「そうでしたか、ソレはありがとうございます。」

塔子は連日、俺を貸切っていた。

「今日は、どちらに参りましょうか？」
「横須賀方面に行って頂けます？」
「承知致しました。。。」

世間話やら、仕事の事やら
都内から横須賀までの数時間、お喋りをしながら到着すると･･･
車から降りながら塔子は･･･

「一緒に食事しましょう。この前のお礼もしたいし･･･」
「いえ、アレは私用ですし、お客様と食事なんて、とんでもありません。」
「まぁ、お堅いんですね。」

「春日井さん。。。」
そう、俺の名前を呼び、いきなりのkissをして来た。

「コレで、単なる客では無くなりましたよね？」
っと、塔子は笑みを溢した。。。