響子が逃げ出した後･･･

「五十嵐さん、今の里谷？･･･」
「あぁ･･･みたいだな。。。」
同僚の、桐谷に声を掛けられた。

桐谷は、見た目は爽やかそうだが、結構な遊び人。
その容姿で、かなりの女を相手にしていた。

「知り合いなんですか？」
「そんなんじゃねぇよ。。。」
「里谷って、見かけからして スレて無いって感じですよね。」
「ああ言う女は、１度タガが外れると半端なくイイ感じになるんですよねぇ･･･」
「へぇ･･･お前の経験談？」

「お前、いまに罰が当たるぞ。。。(笑)」
「大丈夫！　俺は上手に立ち回りますから･･･(笑)」



思春期の頃･･･
なぜか、やんちゃな男に惹かれるってある。
意気がって、わざと悪ぶったり、強く見せたり･･･

五十嵐の存在は、響子にとって　そんな風にも映ったのかもしれない･･･。


五十嵐に、今、決まった女性はいない。
あんな ひねくれた性格だから、付き合う最初の段階で、
「結婚とかは無いから･･･」と宣言もする。ある意味で硬派(笑)
最初は承諾する女も、いずれ しびれを切らし去って行く。。。

基本、女遊びは後腐れない商売女をチョイスして
温かい家庭などにも興味も示さず アウトローを気取っていた。


後日、社内エレベーターで、五十嵐と響子が鉢合わせ。

「あっ･･･」 チョコんと頭を下げる響子に五十嵐が…

「なぁ･･･今夜ヒマ？　飯、行かねぇか？」
「エッ！･･･」
「いや、無理しなくてイイんだけど･･･」
ぶっきらぼうで、捨て鉢の食事の誘い(笑)

「あっ、いえっ、はいっ。。。」
「んっ？　ソレって、イイよ。の返事？」
「ﾊイ･･････。」
「わかりずれぇなぁ・・・ったく(笑)」

携帯の交換をして、その日の夜のデート？になった。
五十嵐のチョイスした店は、古びた焼き鳥屋。
こんな店は、喰うもんが旨いんだ！と、譲らなかった。
五十嵐の言う通り、出て来る品々は絶品だった。

「しっかり、喰えよ。。。」
「アンタの、あの上司、どうしてる？」
「アレから、何もされてません。。。」
「ホントに、ありがとうございました。」

響子の上司。
五十嵐相手に ムキになる事は無かった。
五十嵐はクセのある男、怒らせたら何をしでかすか･･･
非は自分にある上司は沈黙を守り、響子に手を出すセクハラもしなくなった。

「そっかそかそか･･･良かったジャン！」
「はい。。。」

笑みを溢す響子に
「アンタ笑うんジャン、いつも真面目そ～な顔しか見た事ないけど･･･(笑)」

五十嵐の、ツンデレなセリフ。。。

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