僕は、『 片山　勇 』

揺れる電車のつり革に掴まり
窓から見える景色に視線を流す。

この時期の流れる景色は、優しい桜の花が見事に彩り自然と笑みがこぼれる。
途中、停車するホームには、着慣れ無いスーツを着込み
靴擦れを起こしそうな、履きなれて無い革靴に身を包んだ
新入社員の若者が目立つようになる。
それも、間違いなく春の景色。。。


僕の数年前と同じ･･･
新人と呼ばれ、毎日緊張の連続だったような日々。



今、僕は数人の後輩も出来た。
デスクの対面には、先輩の加賀谷さんという女性。
お局様とは言わないけど、この部署では古株。
キチッとした仕事をこなす人で、彼女のホローが無ければ、
この部署は回らないんじゃないかと思うくらいに･･･

笑顔は少ないけど、メガネの奥の瞳は、いつも真っ直ぐ相手を見て
周囲に気配りをしていた。
固い印象だけど、信頼は絶対だったし
仕事に関しては妥協せず、尊敬出来る人だった。


僕のフデオロシ。初めての相手は、家庭教師。
まるでＡＶでありがちな出会いのストーリーみたいな･･･(笑)
だけど･･･アレはアレで真剣な恋だったから。。。

学生の頃は、普通に恋もした。
でも、同年代の女の子は疲れる。
わがままで、人の事はお構いなしで自己中で･･･
僕は財布じゃないし、執事でもないぜ。
結局、僕は付いて行けず　いつも長続きせずフラれる日々。。。


年上の女性は、気配りが違う。
自分が甘えてるって言われれば　そうなのかもしれない。
大人に成りきれてないって言われれば　そうかもしれない。。。

でも、居心地がイイんだ。
こちらが無理することも無く、気負う事も無い。
自由に、自然体の僕でいられる。

加賀谷さんと関わり合う様になって
先輩だけど･･･ドコか惹かれてる自分が居た。


出会った時から、引き寄せる何かがあったのかと･･･
少女漫画のラブロマンスのような･･･(笑)
やっぱり、甘いかのか･･･(笑)

でも、気持ちが明確なワケじゃなかったし、クチに出すことはしなかった。

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